【初心者向け】エストレヤのタイヤ交換のやり方・調整を図入りで詳しく解説
エストレヤのタイヤ交換って初心者でもできるの?
もしするなら何が必要?作業手順は?注意することは?
誰か分かりやすく教えてほしいな
という方にオススメの記事です。
- タイヤ交換を自分でやってみたい
- ドラムブレーキの交換方法が知りたい
- 少し踏み込んだメンテナンスをしてみたい
- 少しでも安くタイヤ交換をしたい
はいさい!かきぴーやいびん
今回は”前後ドラムブレーキ”エストレヤのタイヤ交換手順について解説していきます。
タイヤ交換などバイクの足回りのメンテナンスについては間違った手順ややり方で行うと
走行中に故障や事故に繋がる可能性があるので十分に注意しながら行ってください。
作業するときは必ず「サービスマニュアル」を用意し、できればメンテナンスの経験や知識がある人に教えてもらいながらやってみることをオススメします。
エストレヤのタイヤ交換に用意するもの
- チューブタイヤ(今回はIRC GS-19)
- チューブ(ブリジストン F:MCSC6840 R:MCSC8053)
- リムバンド(F:ダンロップ18inch汎用 R:ブリジストン17inch用2.75-3.25)
- ビートクリーム
- 割りピン
- 万能グリス
エストレヤのタイヤはフロントが18インチ(90/90-18)、リヤが17インチ(110/90-17)になります。
リムバンドの今回使ってるサイズはフロント:22-18、リヤ100-110/90-17
タイヤよく見かけるのはIRCのGS19か、ダンロップのTT100GP
定番タイヤや空気圧については以下の記事で解説しています。
必要な工具は以下になります。
- 虫回しドライバー
- タイヤレバー
- サービスマニュアル
- ジャッキ
- トルクレンチ
- ヘックスソケットビット
- ソケットレンチセット
- 27mmレンチ
- ビートブレーカーやタイヤチェンジャー(あると便利)
作業した当時はビートブレーカーや手動タイヤチェンジャーを持っていなかったので、交換には苦労しました。
※サービスマニュアルについて
バイクのメンテナンスを行うときはサーニスマニュアルを用意しておきましょう。
特に今回は足回りと走行に直結する部分なので、ボルトを締める規定トルクがありますので、作業中に分からなくなった時はサービスマニュアルに記載されている数値等を参考に知る必要があります。
今回は取り扱ってるエストレヤが前後ともに“ドラムブレーキ“なので「補足版」も用意しています。
裏面に対応している「年度」「通称名」「機種」「車体番号」が書かれているので、
自分の乗ってるエストレヤに対応しているサービスマニュアルを用意してください。
車体番号や機種が分からない時は、購入時に渡された書類か保険の書類に書かれているので、書類を確認してみましょう
タイヤ交換の作業手順
- 車体からタイヤ(前後)を外す
- ホイルから古いタイヤを外す
- 交換用の新品タイヤを取り付ける
- 空気を入れて漏れてないか確認
- 車体に取り付けて調整
となります。
作業内容自体はそこまで難しいことはなく、お店にお願いしたら1時間くらいでやってくれるんですが
慣れてないと、手こずったり途中調べたりしてけっこー時間かかります。
タイヤの取り外し
フロントタイヤ
まずはジャッキを使って車体を下から固定します。
車体を固定したら、ブレーキパネルに付いている2本のケーブルを取り外します。
カムレバーを外す場合は後で戻すときに位置がわかるようにカムレバー位置をマーク〔A〕をつけておきます。(ここではカムレバーはいじらないので、ケーブルだけ外します)
※カムレバーの位置の調整の仕方はページ下で紹介していますが、初めて触る場合はカムレバーはいじらないことをオススメします。
右側のアクスルクランプボルト(小さい6角)を緩めます。
※この時緩めるのは“右側“だけで左側は緩めませんが、当時は何も知らずどっちも緩めていました。
フロントフォークをオーバーホールするときは左右どちらも
アクスルクランプボルトを外します。
アクスルクランプボルトを緩めたら、アクスルシャフトを緩めていきます。
アクスルシャフトを引き抜くとき、タイヤとフォークの間にカラーが入ってるので無くさないように注意してください。
固着してアクスルシャフトが回らない時は
レンチや鉄パイプを使って持ち手を延長して力を込めやすくするといいですよ。
それでもはずない場合はインパクトドライバを使ったり、6角レンチにタオルを巻いてハンマーで叩くなど工夫してみましょう。
僕の時は固着して回せなかったので、6角レンチにメガネレンチをはめてその上に乗って全体重をかけたりしました。
シャフトを外すときは、タイヤを少し持ち上げるか、タイヤの下に何か敷いて浮かせると引き抜きやすいです。
ブレーキパネルは固定されていないのでタイヤを外した時に落ちることがあるので気をつけてください。
- シャフトは取り付ける前に綺麗に掃除してグリスアップしてから取り付けます。
いつも使ってるグリスはクレ工業の「グリースメイトペースト」で4年ほどずっとお世話になってます。
リアタイヤの取り外し
フロントが外せたらリアに取りかかりますが、フロントに比べてリアの方が作業は面倒です。
タイヤを外す前に先にチェーンガードを外します。
チェーンガードは8mmのボルト2本で固定されているだけなので簡単に外せます。
次は反対側にまわり、カムレバーに繋がってるブレーキロッド〔A〕とドラムを固定してるプレート〔B〕を外します。
この時、〔B〕の方はスナップピン(8mm)が刺さっていますが、これは新しいものに交換しておきましょう。
マフラー側にピンが刺さってるナットがあればマフラーを外すことなく作業はできますが、
もし反対側だった場合はリヤアクスルを引き抜くことができないので、マフラーを取り外しておきましょう。
(このサイトではマフラーは外さずに作業を行います)
ここのナットは27mmのレンチで取り外せます。
空回りしてナットがうまく外せない場合はシャフト側(17mm)をレンチで抑えつつ回すとナットが外せます。
通常であればここのナットにも割りピン(4.0×35mm)が刺さっているはずなので、作業時には新品へ交換します。
割りピンやスナップピンは通販より用品店での購入の方が数もちょうどよくオススメ
リアアクスルのナットが外せたら、ドライブチェーンを最大まで緩ませます。
リヤアクスルシャフトの位置を固定してるボルトは14mmと12mmです。
この時、念のためチェーンの調整がどの位置になってるのか写真を撮って残しておきましょう。
ドライブチェーンを最大まで緩ませたらリヤアクスルシャフトを引き抜きます。
フロントと同様にタイヤを持ち上げるか、下に何かを挟んでタイヤを浮かせるとシャフトを抜きやすいです。
シャフトは取り付け前に洗浄するので、それまでカラーとワッシャーナットをつけて無くさないようにしておきましょう。
ここまできたらリヤタイヤを外します。
フェンダーに干渉して外しにくい場合があるので、タイヤを少し斜めにしたり、車体を下から押し上げながら作業を行うとタイヤをうまく外せます。
タイヤを取り外した後のチェーンは傷防止のためにタオルなどを間に挟んでおきます。(なくても大丈夫)
ようやく前後のタイヤが取り外せました。
これからタイヤの交換作業に移ります。
リヤ側もシャフトは取り付ける前に綺麗に掃除してグリスアップします。
ホイールからタイヤの取り外し
ようやくここからが今回の本番になります。
初めてタイヤを外す場合は勝手がわからずだいぶ苦労するので落ち着いて作業していきましょう。
タイヤを地面に直置きすると作業しているうちに傷付いてしまうので、段ボール等を敷いてその上において作業します。
木枠を組んでその上において作業する人もいますので、好きな方を選んでください。
エアーバルブのキャップを外し、虫回しドライバーで中の虫を回して空気を抜きます。
この時、中の虫が勢いよく飛び出してくることがあるので注意してください。
空気が抜けきったら、「ビート落とし」というタイヤを上から圧力をかけてビートを落とす作業を行います。
この時、上から足で押したりして“ボコン“という感触があったらビートが落ちています。
タイヤの上に乗って足で押してもいいですが、「ビートブレーカー」という工具があると比較的楽にビート落としができます。
作業を行うときタイヤレバーは3本あると作業がしやすいです。
片側のビートを落としたらタイヤレバーとリムプレート(リム保護用)を使ってタイヤを外していきますが、
最初はなかなかスムーズにいかず手こずります。
タイヤの方がを外せたら、隙間から中のチューブを引き抜きます。
チューブが引き抜けたら、残った側のタイヤも最初と同じ容量で外していきます。
タイヤを外すときに無理に力任せにやると写真のようにリムバンドをズタズタに傷つけてしまうので、
タイヤレバーで外すときはレバーの差し込み方や力の入れ具合には注意が必要。
ドラム内も錆びていたり、カスで汚れていたりするので新しいタイヤを組む前に掃除しながら点検しておきます。
ドラムブレーキの場合は無ブレーキシューとブレーキドラムの両方を測定しておきます。
ブレーキドラムの測り方
- ノギスを使ってドラム内径〔A〕を数カ所測定する
- 測定値のいずれかが使用限度を超えていたらドラムを交換
- ドラムが不均等に摩耗していたり、引っ掻き傷がある場合は旋盤で削るか交換(使用限度以上に削らないこと)
フロント | リヤ | |
標準値: | 200.000~200.185mm | 160.00~160.160mm |
使用限度: | 200.75mm | 160.75mm |
測定数値からノギスは300mm対応のものが必要になります。
ブレーキシューライニングの測り方
- ライイニングの厚さ〔A〕をノギスまたは定規を使って数カ所測ります。
- 1箇所でも使用限度よりも小さいときは、シューをセットで交換します。
- ライイニングが使用限度より厚い時は、シューを取り付ける前に、以下の作業を行う。
- 紙やすりでライニング表面の高い箇所を削る
- ワイヤブラシでライイニングから異物を取り除く
- 引火しにくい溶液を使って、オイルやグリースを洗い落とす。
乾燥後にオイル分が残る溶剤は使わないこと。もし使った場合はシューを交換しなければならない。
エストレヤのドラムブレーキはよく鳴ったり、雨の日はフロントブレーキが少しブレーキしただけでロックする「カックンブレーキ」って言われてますけど、一応ブレーキメンテしたあとは一時的にマシにはなりました。(ただすぐ再発したので諦めるしかなさそうです)
ドラムの計測には300mm対応のノギスが必要だけど、ブレーキシューの計測だけなら100mmのもので十分対応できます。
新しいタイヤを取り付ける
ドラムのメンテナンスが終わったら新しいタイヤを取り付けていきます。
新品のリムバンドを空気を入れる穴を合わせて取り付けます。
タイヤを取り付ける前にリムとタイヤにビートクリームというものを塗っていきます。(ない場合は石鹸水でも代用可)
今回使のは「ラフ&ロードのビートクリーム」
ビートクリームはタイヤとリムの黄色の部分に塗ります。
タイヤには進行方向を示す矢印があるので、この矢印と側面に黄色い点があるのでそれも確認しておきます。
この黄色い点は空気入れるバルブに位置を合わせます。
タイヤを片側ホイールに組んだら、隙間から新しいチューブを入れていくんですが、これが地味にうまくいかずに悪戦苦闘します。
そこで、バルブに糸を結んで引っ張ることに
※ホイールを組む前にチューブを取り付けて行なった方がスムーズにできそうです。
これでやってみるとなんとかバルブを通せました。
通したら抜け落ちないようにナットをはめて固定しますが、ナットは最初の方だけ締めておきます。
これはタイヤをはめるときにタイヤレバーがチューブを巻き込むリスクを減らすため。
チューブを入れたらもう片側のタイヤを組んでいきますが、
この時チューブやリムバンドを中で巻き込んでしまわないように気をつけてタイヤレバーを使っていきます。
タイヤを組むことができたらバルブのナットをしっかり締めます(1.5Nm)
この後は空気を入れてビートをあげつつ、空気漏れしていないか確認します。
家にエアーコンプレッサーがあれば家で入れることができますが、持ってないので近くのガソリンスタンドまで行って入れてきました。
漏れがないことが確認できたら外した手順とは逆の手順でタイヤを取り付けていきます。
各パーツの規定トルクとブレーキ調整
取り付けて行くときは規定トルクが決まっているので、しっかり守りながら締めていきます。
規定トルクを測るのに使ってるのは「SK11のデジタルトルクレンチSDT3-135」
- 差込角:9.5m/m
- 測定範囲:6.8~135N・m
アナログのトルクレンチもありますが、初心者こそデジタルトルクレンチをオススメします。
デジタルトルクレンチはボタンひとつで測定するトルクを設定して設定した規定トルクに近づくと「ピピピピ」、
規定トルクに達すると「ピー」という音で教えてくれます。
操作しやすいデジタル画面と
規定値を音で知らせてくれる親切設計なので
これからバイクメンテナンスする人にはオススメ!
フロントブレーキの規定トルクと調整
フロントタイヤ・ブレーキ
- フロントタイヤのアクスルシャフトは88Nm
- アクスルクランプボルトは20Nm
で締め付けます。
ブレーキをかけたとき、インジケーター〔A〕が「USABLE RANGE」〔B〕の範囲からはみ出すようなら、ブレーキシューを点検して必要なら交換。
購入してから自分でいじってない状態で、インジケーター〔A〕が〔B〕の範囲をはみ出すようなら交換時期の可能性が高いです。
自分でいじっている場合は、調整がズレている可能性もあるのでブレーキシューの状況を見ながら交換が必要なら交換してください。
- ブレーキをかけたとき〔B〕の角度が80°〜90°になるようにします。
- 1のときに〔A〕と〔C〕が平行〔D〕になってることを確認します。
- 角度が狂ってるときは、カムレバーを外して角度を調整する。
- カムレバーが平行ではないときは、ロッド〔E〕のロックナット〔F〕を緩めてロッドを回し、2つのカムレバーが平行になるようにする。
- カムレバーの調整をしたら、必ずブレーキの引きずりや戻りを確かめる。
- 〔C〕を外して角度の調整を行う場合、絶対にカムレバーとインジケーターの噛み合わせ位置を変えてはいけません。
- A:一次カムレバー
- C:二次カムレバー
- E:ロッド
- F:ロックナット
リヤタイヤ・ブレーキ
ドラム固定プレート34Nmで締め付けて割りピンは要交換、リヤアクスルは110Nmでしっかり締め付けます。
こちらもフロント同様に、インジケーター〔A〕が「USABLE RANGE」〔B〕の範囲をはみ出してないか確認します。
一度も自分でいじってない状態で〔B〕の範囲をはみ出してる場合は、ブレーキシューの交換が必要な可能性があります。一度でも自分でい知ってる場合はブレーキシューの状態を確認しながら各自で判断しましょう。
ブレーキカムシャフトとインジケーター[A]の噛み合わせ位置は絶対に変えないように
リヤブレーキをかけたとき
- 〔C〕の角度が80°〜90°になっているか確認
なっていないときは、カムレバーを外して角度を調整します。
調整したら必ずブレーキの戻りが悪くないか、引きずりはないかを確認しましょう。
カムシャフトを外した時にインジケーターとの噛み合わせ位置を
変えてしまったらどうしよう・・・。
でもブレーキの効きが弱いから調整したい。
というときは
それぞれのブレーキにあるアジャスティングナットを回してブレーキの効きを調整するといいですよ。
チェーンの調整
チェーンは
- リヤタイヤを回してたるみが一番少ない位置で測ります
標準値が30〜35mmなので、たるみが大きい場合は調整して、限界まで調整してもたるみが大きい場合は交換しましょう。(交換にはチェーンカッターが必要になります)
調整は
- リヤアクスルナット〔A〕を緩める
- チェーンアジャスティングナット(右,左)〔B〕を緩める
- アジャスティングナット〔C〕を回して、チェーンのたるみを標準値内にしていきます
アライメントゲージ(リヤアクスル横の数字)の刻み線の位置はスイングアームの左右を同じ位置に合わせる
まとめ
タイヤの空気圧、各部の調整が終わり車体に組み付けられたらタイヤ交換の作業は終わりです。
家の近くをテスト走行して問題がないか最終確認しましょう。
もし、テスト走行で違和感がなくてしばらく走ってるときに違和感が出てきたら、その部分をチェックして原因が解決しないときは素直にバイク屋に持ち込んで点検してもらいましょう。
ちょとしたパーツの付け替えひとつ間違えてるだけで、そこからダメージが広がり最悪大事故につながる可能性もあります。
実際、僕は日本一周前に自分でタイヤを交換した時、フロントのとあるパーツの前後を間違えて取り付けそれに気づかず旅に出ました。
特にすぐに問題が起こるところじゃなかったため3ヶ月間気づかず走行していて、北海道で蓄積されたダメージが「前輪のベアリング破損」という形で現れました。
たまたま停滞中で近くにバイク屋があったので、すぐに駆け込んでみてもらって発覚しました。
その時、バイク屋に言われたのが
「このまま走ってたら、走行中に前輪が外れて大事故に繋がってたかもしれないね」
でした。
おそらく原因はそれだけじゃないと思いますが、素人が足回りをいじるときは本当に気をけながら「こんな感じでいいや」というてきとーな気持ちでやらないようにしてください!
できれば知識と経験がある人が一緒に教えてくれるのが一番ですが、そんな都合よくいるものでもないので最低限「サービスマニュアル」は用意しましょう。
文字だけだと作業のイメージがしづらいので動画を見て予習しておくといいです。
「エストレヤ タイヤ交換」で検索するといくつか出てきます。